タイミーのエンジニアリング組織のこれまでとこれから、直近(半年-1年)で抱えている課題に関して書いた文章です。タイミーと言う事業やサービスに関しては、エントランスブックをご覧ください。

これまでのタイミー

タイミーは、代表の小川が1回目の起業に失敗した際にアルバイトや日雇いで働いていた頃の原体験を発端として2018年8月にローンチされたサービスです。学生ベンチャーであったため、誰にも何の経験も一切なく、経営・開発・運用・販売・マーケティング全てを手探りしながら進めていきました。

2019年いくつかの小規模なピボットを経て直接雇用型の「スキマバイト」スキームを実現しようとしている頃サービスは強烈なProduct Market Fit(以後PMF)を迎えます。

元々スタートアップが好きな私としては、どうやら「PMF」という概念があるらしいぞということは知っていましたが、PMFは自分たちで実現するものだと思っていました。一方で実際に体験したことは全く異なるもので、プロダクトの稚拙さなどは全く関係なく、顧客に求められ、どんどん利用が広がっていくものでした。結果として私たちは、強烈なPMFを契機とした成長に振り落とされないようにコード品質や開発体制、運用体制を整えていくことになりました。

2019年に直雇用モデルへの転換、2020年はCovid-19の影響による販売戦略の大幅なアップデートを行いつつサービスは現在も継続的に拡大をしています。

方針: 私たちはどこに行こうとしているのか?

2021年1月に 「『働く』を通じて人生の可能性を広げるインフラをつくる」 というミッションを立てました。タイミーが向き合っている課題と市場は非常に大きく、「インフラをつくる」ことは必達なチャレンジだと考えています。

学生ベンチャーとして荒削りな形で走り出した会社ではありましたが、およそ3年の月日を経て、しっかりと地に足をつけ長期的なゴールを定め取り組んでいけるフェーズに来たと感じています。

今後エンジニアリングやプロダクトの戦略は「『働く』を通じて人生の可能性を広げるインフラをつくる」から逆算されたチャレンジを続けていきます。

タイミーのエンジニアリング組織は、継続的な問題解決を行うことができておりとても良い状態だと思っています。しかし、あくまでも現在の規模でサービスを3年続けるにおいては良い状態であって、「インフラをつくる」というところからは遥かに及ばない場所にいると考えています。この差分を埋めるために、①データとプロダクトの融合 ②多様なユースケースの実現 ③リスクの手綱を握る の3点を実現していきます。

1. データとプロダクトの融合

タイミーは働き手と企業の需給バランスを常に最適に保ち続ける必要があるプロダクトです。成果報酬型で売上が立ちますし、顧客価値も「働けたこと」や「働き手が来てくれること」に大きく依存します。そのためマッチングに対する継続的な成果追求が必要となっています。この成果を継続的に最大化するためには、データを用いた改善サイクルが必要です。そのためデータ利活用を継続的に強化していくつもりです。

データの利活用には大きく分けて3つのフェーズがあると考えています。まずフェーズ1としてデータが蓄積可能になる状態、次にフェーズ2として蓄積したデータを元に方針や施策を決めることができる状態、最後にフェーズ3としてデータが人を介さず自動的に改善に繋がる状態があります。タイミーは多くの領域で最終的なフェーズ3に達している状態を目指します。

タイミーは、現在BigQueryを基軸としてBIツールに繋ぎこむデータのパイプラインが存在しています。このパイプラインはDRE(Data Reliability Engineering)チームが開発と運用を行なっています。DREの取り組によりいくつかの領域はフェーズ2まで達していますが、フェーズ3に達している領域はまだ存在しません。また、フェーズ2まで達しているものでもデータの可用性に改善の余地がまだまだある状態です。

2. 多様なユースケースの実現

タイミーが事業を拡大する上で、膨大なパターンのユースケース(サービスの使われ方)をサポートしていく必要があります。働き手にとってのタイミーは、帰り道のちょっとした副業としても、生計の柱としても活用できるサービスであるべきです。また、ご活用いただく企業にとっては、個人店から大企業まで、さまざまな業種・業態で活用できるサービスであるべきです。

この膨大なユースケースを支えるため、「ユースケースが多様なプロダクト」を実現する必要があると考えています。

少々概念的であるので、Google スプレッドシートを例に「ユースケースが多様なプロダクト」を説明できればと思っています。Google スプレッドシートは、ユーザーの使い方によってあるときは個人タスクのToDo Listであり、あるときはPLを管理する経営ツールであり、あるときは取引先と情報連携を実現するツールであったりと、様々なユースケースを持ちます。ただし、Google スプレッドシートはToDo管理/PL管理を機能として直接提供しているわけではなく、ただ表計算をクラウド上で共同編集できる機能を提供しています。ユーザーは、Google スプレッドシートより提供された機能を組み合わせて課題解決を行なっている。これが「ユースケースが多様なプロダクト」であり、今後タイミーが目指していくプロダクトの姿です。

今後のサービスの拡大に際して、ステークホルダーより様々な要求が発生していきます。これに対してサービスを個別具体にカスタマイズするのではなく、シンプルな機能の組み合わせで多くの顧客課題を解決できるようなサービスの状態を目指していきます。